東京都の待機児童数が多い地域(2015年/平成27年度版)ワースト10

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東京都待機児童ランキング2015

この記事は、東京都の待機児童問題の定量的データとして、毎年東京都が発表している地域(市区町村)別の保育園の待機児童数を集計し、2015年(平成27年)度版の「待機児童数ワースト10」として発表しています。

人口と仕事の集中する東京都は、待機児童問題が深刻です。2015年度は7,814人もの待機児童が記録されました。ただ、一口に「東京都」といっても、23区を始め、様々な市区町村があり、それぞれの待機児童事情は若干異なってきます。この記事では、2015年度に待機児童数が多い東京都の市区町村をピックアップし、上位10地域をワースト10としてご紹介します。

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2015年度東京都待機児童数ワースト10ランキング

分析対象は、東京都福祉保健局が毎年発表している待機児童に関する調査資料です。2015年(平成27年)7月に東京都の福祉保健局が調査結果を発表しました。

別紙(全体データ)・(市町村別データ

データを整理して公開することはせず、一覧表をPDFで公開するだけです。この資料を加工して、待機児童が多い市区町村のワースト10をまとめました。なお、東京都の資料を全て信じこんだ分析なので、待機児童の定義や実態との乖離などは一切考慮していません。

2015年度の東京都の待機児童数ワースト10は以下の表の通りです。

東京都待機児童ワースト10、2015年度

東京都待機児童ワースト10、2015年度

表が見辛い方のために、以下に解説します。カッコ内は2014年度との順位増減です。

ワースト1:世田谷区(±0)
ワースト2:板橋区(+1)
ワースト3:府中市(+10) 
急上昇!
ワースト4:江戸川区(+3)
ワースト5:足立区(±0)
ワースト6:調布市(+2)
ワースト7:目黒区(+3)
ワースト8:渋谷区(+18) 急上昇!
ワースト9:葛飾区(+20) 
急上昇!
ワースト10:品川区(+14) 
急上昇!

という結果になりました。括弧内は前年順位との比較です。

なお、ランキングはあくまで相対評価です。必ずしもランクアップ=待機児童数増加、ランクダウン=待機児童数減少とは限りません。ワースト2位の板橋区は2014年度の待機児童数は525人(ワースト3位)で、今年はそこから150人も待機児童を減らしたのに、ワーストランクが上がるという不運な状況になりました。

このトップ10市区の待機児童数の合計は3,890名で、じつに東京都全体の待機児童数の半分を占めています。

また、前回ワースト10にいた4つの市区町村が待機児童数を大幅に削減してトップ10圏外に移動しました。いずれもワーストランキング上位常連地域だったのだけど、しっかりと待機児童削減対策を取っているということでしょうか。

2014年度ワースト2位:大田区(待機児童450人減らして24位へ後退)
2014年度ワースト4位:練馬区(待機児童300人減らして15位へ後退)
2014年度ワースト6位:江東区(待機児童150人減らして20位へ後退)
2014年度ワースト9位:小金井市(待機児童100人減らして21位へ後退)
※ワーストランキングなので、後退したのは良い事です。

2015年度の待機児童数データに関する注釈

東京都の発表資料は、毎年若干注釈の内容が異なっています。表にも記載していますが、今年の注釈を改めて以下に書き出します。

(注1)就学前児童人口は、東京都総務局発行「住民基本台帳による東京都の世帯と人口(各年 1 月 1 日現在)」による。 (外国人人口を含まない。)

→待機児童の母数である「就学前児童人口」は、住民基本台帳で調べているようです。生まれたのに届出されていない人以外はしっかりカウントされれるので、極めて信ぴょう性が高いデータですね。
(注2)保育サービス定員は、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業、定期利用保育、区市町村単独保育施策等の合計。ただし、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業は平成27年4月のみ。

→「保育サービス定員」というのは、「保育が受けられている人が通っている施設」のことですね。2015年度から制度改正(子ども・子育て支援法)があったので、若干施設の定義が変わっています。
(注3)認定こども園の利用児童数は、幼保連携型こども園及び幼稚園型こども園を利用する保育を必要とする子の合計。ただし、幼稚園型こども園を構成する認可外保育施設が認証保育所の場合は、その分の利用児童を除く。

→厚生省(保育園)と文科省(幼稚園)の縄張り問題を解消すべく提唱されているものの、全く目立っていない「認定こども園」は「保育園として扱われるこども園は保育園としてカウントする」という、存在意義全否定する扱いになるようです。

東京都による2015年度待機児童数に関する考察

東京都の福祉保健局は前年度との比較考察情報を書いています。これは比較的最近始めた取り組みです。

都内の保育サービスの状況について

保育サービス利用児童数の増加が大きい区市町村(前年からの増加数)
1) 世田谷区 959人 2) 杉並区 930人 3) 江東区 882人

待機児童数が多い区市町村
1) 世田谷区 1,182人 2) 板橋区 378人 3) 府中市 352人

待機児童数の増加が大きい区市町村(前年からの増加数)
1) 葛飾区 141人 2) 渋谷区 132人 3) 府中市 119人

待機児童数の減少が大きい区市町村(前年からの減少数)
1) 大田区 -459人 2) 練馬区 -311人 3) 江東区 -148人

都内区市町村の状況

待機児童ゼロの区市町村 15自治体
うち昨年度から引き続き待機児童ゼロの区市町村 12自治体
うち昨年度から待機児童が減少したことによって待機児童ゼロになった区市町村 3自治体
待機児童がいる区市町村 47自治体
うち待機児童が昨年度から減少した区市町村 25自治体
うち待機児童が昨年度から増加した区市町村 22自治体

待機児童数は東京都全体で7,815人。前年度に比べると858人減少しました。ここ2年間増加傾向にあったので、一旦増えどまったということです。葛飾区・渋谷区・府中市で大幅に待機児童の増加があった一方で、大田区・練馬区・江東区では待機児童を減らせているようです。この3つの区だけで1000人ほど減らせているので、たいしたものです。(待機児童の定義を変えて少なく数えるようになったのでないことを願います)

世田谷・杉並・江東はなぜ保育園利用者が増えたのか?

最後に、「保育サービス利用児童数の増加が大きい自治体」について私なりの考察を書きます。

世田谷区、杉並区、江東区は保育園に入りたい子どもが昨年比で増えた地域のトップ3です。つまり、保育園定員が変わらなければ、増えた子どもがそのまま待機児童数の増加につながってしまいます。

例えば、世田谷区などは1000人近く利用希望者が増えています。定員増強・施設増加などの対策をとったのでしょうが、待機児童数は前年比で70名ほど増えてしまいました。世田谷区の取り組みを調べると、世田谷区は情報発信を強化して、認可外保育施設を含めた育児施設への待機児童振り分けを物凄く頑張っているようです。ただ、子持ち夫婦の流入が多いのか、追いついていないようです。

しかし、2位の杉並区は待機児童数が前年比74減、3位の江東区も前年比148減です。いずれの区も800人近く保育サービス利用者が増えたにもかかわらず、待機児童数を減らしています。

杉並区も世田谷区同様に保育園希望者に対する情報発信を徹底することで無認可施設などに誘導して待機児童を減らしています。その一方で、江東区は保育園希望者に対する情報発信はイマイチ(たとえばウェブで発信している情報がわかりづらい)だけど、大幅な施設拡大をした効果があって、待機児童を減らせた、という事情があるようです。

注:この記事は、ブログ「坊ちゃ〜ん、大きくなりましたね」の東京都の待機児童数が多い地域(2015年/平成27度版)ワースト10を一部改変して公開したものです。(管理人は同じ人間です)

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