あれ、この人たちは数えない?横浜市の待機児童数の定義の秘密

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横浜市の待機児童の定義

この記事では、2015年度4月の待機児童数がわずか8人だった横浜市における「待機児童数」の定義をご紹介します。

前回の記事「横浜市の待機児童ワーストランキング(2015年/平成27年度版)」にて、2015年度(平成27年度)の横浜市の保育園待機児童数が、市全体でわずか8人だったことをご紹介しました。これは同年の東京都と比べてたった0.1%です。

横浜市では子どもを保育園に預けたい人は、ほとんど苦労せずに済むのでしょうか?そういえば横浜で子育てをしている友人たちはそこまで保育園には困っていなかったように思います。それなら「今すぐにでも東京都から横浜市に引っ越したい!」という人もいるかもしれません。

でも、その前に、横浜市が発表している資料をもう少し詳しく見てみる必要がありそうです。

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横浜市の保育園待機児童数は8人でした?

横浜市の待機児童数(2015年4月)

横浜市こども青少年局 発表資料より

上の図は、2015年4月の横浜市こども青少年局保育対策課が発表した資料です。これが「本年度の待機児童数は8人」という根拠です。

詳しく見ていきます。資料によると、2015年度4月1日時点の就学前児童数は、横浜市全体で187,595人でした。

そのうち30%程度の57,526人が保育所利用を申し込んだそうです。結果、その95%程度相当の54,992名が保育園を利用できています。ただ、残りの5%に相当する2,534人は希望した保育園に入れず「保留児童」となってしまいました。
ただ、様々な事情をふまえると(詳細は後述します)、このうち本当に待機児童と呼べるのは8人しかいなかったので、「待機児童はたった8人しかいませんでした」という結論になっています。

待機激戦区において保活中の方は、さっそく横浜市に引っ越しの手続きを!とおすすめしたいのだけど、もう少しだけ資料を見てみましょう。

横浜市における定義…保留児童と待機児童は何が違う?

横浜市の発表資料には、東京都の資料を見ていたときには見慣れない言葉が出てきます。それが「保留児童」という表現です。

横浜市によると、(保育所等利用申請者数) – (利用児童数) = 保留児童数 とのこと。

つまり、保育所の利用を申し込んだのだけど、利用できなかった児童、すなわち保育所に落選した児童のことを保留児童と呼ぶのですね。おそらく保育所利用の際に、複数園に希望を出しているので、それでも落選するということは、横浜市でもみんなが保育園に入れるわけではないということです。

この保留児童数、横浜市全体では2,534人います。一番多い港北区で448人、一番少ない瀬谷区で29人です。

表によると、この保留児童数から2,526人を引き算して、残った8人だけが待機児童と呼ばれています。いったいどういう人が「待機児童ではない」という扱いになるのでしょう?

横浜市の待機児童にカウントされない人たちとは

横浜市では、保留児童数のうち、以下の方は待機児童とカウントされません。

  1. 横浜保育室等に入所している
  2. 育休関係
  3. 主に自宅で求職活動されている方
  4. 特定保育所等のみの申込者など

注釈を見ながら解説していきます。

1. 横浜保育室等に入所している

これは、区立や私立の認可保育園以外で保育をうけられている人、ということです。具体的には以下の保育施設です。

  • 横浜保育室
  • 川崎認定保育園
  • 家庭的保育事業
  • 幼稚園預かり保育事業所内保育施設
  • 年度限定型保育事業
  • 一時保育等

横浜型保育室というのは、多すぎる待機児童問題を解消すべく、横浜市が独自に認定した認可外保育所のことです。0歳から2歳までの一番保育園が激戦となる年齢の子を預かる小規模施設です。700人近いお子さんの受け皿となっているので、横浜市の待機児童解消に一役買っているのでしょう。

川崎認定保育園というのは、お隣の川崎市の同様の施設です。越境入園を認めているようだけど、川崎も保育園激戦区なので、12人しかいませんね。

一時保育など(118人)というのは、不定期に3時間だけ、といった施設でしょうか。これで待機児童扱いされないのはちょっと違う気もします。

2.育休関係

4月1日に育休を取得されている方が対象です。「0歳のうちに保育園に入れるべく育休をとって、保育園が見つかったら4月中旬に復帰予定だったけど、保育園に入れなかったので育休延長!」という方はここに含まれるはずです。あれ?

ここ2年間、毎年50人以上のペースで増えています。

3. 主に自宅で求職活動されている方

こちらは、「主に自宅で求職活動されている方(ご自身等でお子さんをみながら、インターネットなどを利用し、在宅で職を探している方」とあります。出産退職後、なんとか職を見つけようとしているのだけど、保育園に入れず、4月以降も引き続き休職活動をしないといけない人などです。

求職:保育園に預けてないから雇えません

保育園:仕事してないから預けられません

負のスパイラルに陥っても待機児童にカウントされません。就職を諦めて子育てに専念しはじめる人もいるでしょう。ここ2年間で、毎年100人程度増えています。

4. 特定保育所等のみの申込者など

定義が長いです。「1か所しか申し込んでいない方、2か所以上申し込んだ方で内定した保育施設があるにもかかわらず、第1希望等の保育施設しか利用を望んでいない方、申し込みをされた園や自宅の近くに利用可能で空きがある保育施設があるにも関わらず利用を希望されない方 など」

家や職場の近くの保育園じゃないと入りたくない(通えない)、認可保育園以外は通わない、などの理由で第1-2希望しか書かなかった結果、落選した人ということでしょうか。

ここ2年間、毎年200人程度のペースで増えています。

まとめ:本当に横浜市の待機児童は少ないのか?

待機児童の定義を見た限りだと、横浜市は待機児童問題に頑張って取り組んでいるものの、保育園は決して入りやすいわけではなさそうです。

待機児童数は過去3年で0人→20人→8人と、すばらしい低水準で推移しているけれど、保留児童数はそれなりに多いし、待機児童から除外される育休・求職の人たちは増加傾向にあります。希望すれば誰でも入れる状況とは程遠いようです。

なお、東京都は横浜市のように統一した待機児童の定義があるわけではなく、自治体(市区町村)別に調査した待機児童数を集計して発表しているだけです。東京都にお住まいの方は、自分の自治体がどういう人を「待機児童」とカウントしているのか、注意してみてください。

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