大阪府保育園の隠れ激戦区ランキング(2016/平成28年度版)

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この記事では、大阪府における2016年の保育園激戦区をワーストランキングの形式でご紹介します。待機児童の数ではなく、保育園入園児童数と比較した割合にもとづいて比較しました。

大阪府の保育園待機児童問題を、前回の記事(2016年待機児童数ワーストランキング)に引き続き、掘り下げてみます。

大阪府の待機児童数ワーストランキング (2016年/平成28年度版)
この記事では、大阪府の待機児童数ワーストランキング2016年版を公開しています。大阪府が公開した保育園の待機児童数情報をもとに、大阪府の全市町村の待機児童数のワーストランキングを作成しました。 ...

大阪府の2016年4月時点の保育園待機児童数のワースト上位は次の通りでした。

1位:大阪市… 273人
2位:吹田市… 230人
3位:豊中市… 217人
4位:茨木市… 147人
5位:東大阪市… 127人

しかし、待機児童が多い市の大半は、そもそも子どもの数が多い市です。果たして待機児童の数を比べるだけで、保育園の激戦区がわかるものなのでしょうか?そこで、単純な待機児童の人数比較だけでなく、子どもの数や保育園の定員数を考慮した「待機児童率」によるランキングを作りました。

繰り返しになるけれど、この記事の情報は大阪府が2016年に公開した、2016年4月1日時点の保育園待機児童数のデータをもとにしています。

1.4月1日時点の状況 令和5年4月1日時点の状況と、令和4年4月1日時点の状況を、比較掲載しています。保育所等利用児童数・待機児童数等(R5-R4各4月)  [Exce

待機児童の定義は自治体によって若干異なるので、この記事は不正確な情報も含んでいるかもしれません。

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待機児童激戦区ランキングの考え方

ランキングをお見せする前に、「待機児童率」という数字の考え方をご紹介します。

待機児童率というのは、保育所定員に対する待機児童の数です。

これだけで分かる人は少ないと思うので、詳しく補足します。

A町の保育園の定員が100人だったとしましょう。そこに105人の応募がありました。当然5人はあぶれてしまいます。ものすごく単純に考えると、この5人がいわゆる「待機児童」です。

つまり、保育園に入れた100人の5%にあたる5人が待機児童になってしまったのです。この5%がA町の「待機児童率」です。

このA町の隣にあるB町は大きな都市で、保育園の定員は1000人です。今年は1010人の応募があったので、10人が待機児童になりました。待機児童率は10÷1000で、1%です。

待機児童数だけを比較すると、A町の待機児童は5人で、B町は10人です。B町のほうが保育園事情がひどいようにみえるけれど、待機児童率を比べると、A町は5%で、B町は1%です。B町は101人に1人しか待機児童がいないのに対し、A町は105人に5人も待機児童がいるので、じつはA町のほうがB町より保育園に入りづらいのです。

なお、待機児童率は「保育園の定員」を使うのだけど、今回は「保育園に実際に入った人の数(保育サービス利用児童数)」を使いました。定員よりも若干多いのだけど、結果はほとんど一緒です。

大阪府、待機児童率で比べる保育園激戦区、ワースト11

2016年4月の大阪府全体の保育園入園者合計は、159,281人でした。(保育園定員合計はこれより5千人ほど多い164,461人)

これに、待機児童が府全体で1,431人いたので、待機児童率は、1,431÷159,281=0.9%でした。100人いると1人待機児童がいるくらいの割合です。

この平均待機児童率0.9%を上回った自治体は全部で11個あったので、大阪の待機児童激戦区ワースト11として列挙いたしましょう。

1位:島本町6.3% (待機児童数:41人)
2位:池田市4.7% (待機児童数:71人)
3位:吹田市3.7% (待機児童数:230人)
4位:交野市3.65% (待機児童数:47人)
5位:豊中市3.5% (待機児童数:217人)
6位:茨木市2.7% (待機児童数:147人)
7位:東大阪市1.55% (待機児童数:127人)
7位:門真市1.52% (待機児童数:33人)
9位:摂津市1.23% (待機児童数:24人)
10位:和泉市1.22% (待機児童数:44人)
11位:大阪狭山市1.0% (待機児童数:10人)

そんなわけで、待機児童数がわずか41人だった島本町が2位以下を大きく引き離してワースト1位になりました。島本町は待機児童数のランキングではワースト10位でした。2位の池田市も待機児童数は71人で、ワースト6位、いずれもものすごく上位ではなかったのに、割合で見ると、かなり酷い状況にあるようです。

待機児童数ランキングの上位にいた吹田市と豊中市とも上位に登場しているので、この2つの市は本当に保育園激戦地域なんでしょう。

集計してみると、待機児童の人数ワースト10に登場していなかった自治体は3つ(門真市、摂津市、大阪狭山市)だけで、他はワーストランキング上位の市でした。激戦区は割合も人数も多いという結果で、大阪市には「隠れ激戦区」は少ないようです。

意外にも待機児童の数ではワースト1位だった大阪市はワースト10には登場していません。平均より大幅に低い待機児童率(0.5%)で、全体19位になっています。

おまけ:大阪府の保育園、実は競争率低い地域

ついでに、待機児童数が多かったけれど、待機児童率が低い地域をご紹介しましょう。待機児童の割に、そこまで保育園に入りづらくないという地域です。

堺市…待機児童率0.1%

大阪府第二の大都市である堺市は、2016年待機児童数が16人でした。保育園の定員は16,000人くらいあるので、待機児童率は0.1でした。(1001人応募して、1人だけ落選する)

大阪市…待機児童率0.5%

大阪府最大の都市にして、待機児童数ワーストワンの大阪市は、実はそこまで保育園激戦区ではないようです。待機児童数273人に対して、保育園利用者数は6万人ほど。待機児童率は201人に1人が落選する程度、0.5%でした。

大都市なので、待機児童も多いけど、行政もどんどん保育園を増やしているようで、保育園は前年比43園増加、定員に至っては前年比7000人増加しています。

この他は、待機児童ゼロという地域が多かったので、多いようで実は…という地域はあまりありませんでした。

ただ、再度申し上げている通り、「待機児童」という言葉の定義は、育休延長した人を含めなかったり、希望に沿った園に入園できずに辞退した人などを含めなかったりします。こういう人は「隠れ待機児童」として別途集計されていたりされていなかったりするので、「待機児童がゼロ(または少ない)」という情報はあまり鵜呑みにしないでください。