この記事では、東京都における「実は保育園待機児童数が比較的少ない地域」について2015年に東京都が発表したデータをもとにお届けします。
当ブログ「子育てJAPAN」では、自治体が主にPDFファイルで発表している保育園待機児童の情報を、整理して公開しています。
例えば、以前は「東京都待機児童ワーストランキング完全版」を公開しました。
これによると、2015年4月時点で東京都で最も待機児童が多い地域は世田谷区、2番目が板橋区、3番目が府中市でした。
とはいえ、人口(子どもの数)が多い地域は必然的に待機児童数が多くなりがちです。そこで、今回の記事では、「待機児童が比較的少ない地域」ということで、子どもの数を考慮した、待機児童数の少ない地域をご紹介します。
子どもが多い割に待機児童数が少ない自治体は?
東京都に子ども(就学前児童)が何人いるかは、2015年1月1日時点の、東京都総務局発行「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」によると、200万人弱の1,811,173人です。一番多い自治体で、世田谷区の43,365人です。待機児童ワースト1の世田谷区は子どもの数が一番多いのです。
東京都の62市区町村のうち、22の市と区で、就学前人口が1万人を超えています。22市区の子どもの合計は459,499人で全体の約25%です。
しかし、このこの22市区の待機児童数は5358人で、都全体待機児童(7814人)の68%に相当します。待機児童問題は一部の地域で顕著なことをよく示しています。
では、待機児童数が200人未満の地域をご紹介していきます。(待機児童数200人という数は決して少なくはないのだけど、子どもが1万人いる地域においては「比較的少ない」ということでご容赦ください。
就学前児童数3万人超えで待機児童が少ない地域
東京都で就学前児童数が3万人を超えているのは、多い順に世田谷区・江戸川区・大田区・練馬区・足立区の5つです。世田谷区のみ唯一4万人超えです。このうち待機児童数が200人を切っているのは以下の2区です。
- 大田区…154人(待機児童ワースト24位)
- 練馬区…176人(待機児童ワースト15位)
過去待機児童ワースト上位常連だった練馬区が「比較的少ない」地域になるとは驚きです。だいたい就学前児童数に占める待機児童の割合が0.5%ということになります。(ちなみに、世田谷区は約2.8%です)
就学前児童数2万人超で待機児童が少ない地域
東京都で就学前児童数が2万人を超えている地域(3万人未満)は、多い順に江東区、八王子市、板橋区、杉並区、葛飾区、町田市の6市区です。このうち、待機児童数200人未満の地域は、少ない順に以下のとおりです。
- 杉並区…42人(ワースト39位)
- 八王子市…144人(ワースト26位)
- 町田市…153人(ワースト25位)
- 江東区…167人(ワースト20位)
この4地域は、待機児童数が就学前児童数に占める割合が1%未満ということになりますね。
就学前児童数1万人超で待機児童が少ない地域
東京都で就学前児童数が1万人超え(2万人未満)の地域は、多い順に北区、府中市、港区、目黒区、中野区、新宿区、調布市、墨田区、文京区、豊島区の10市区です。(次いで小平市、荒川区、西東京市、渋谷区の4地域で9500人超え、1万人未満)
このうち待機児童数が200人未満だったのは、少ない順に以下の通りです。
- 港区…30人(ワースト41位)
- 文京区..69人(ワースト34位)
- 墨田区..76人(ワースト33位)
- 北区..160人(ワースト23位)
- 新宿区..168人(ワースト19位)
- 中野区..172人(ワースト17位)
ワーストランキングの20位圏内の地域も出てきているので、本当に少ないかは疑問が残りますね。ここで挙げた地域の待機児童数が就学前児童に占める割合は、0.3%以上1.5%未満といったところになります。
まとめ:待機児童数はどのくらいいると多いのか?
以上、東京都の2015年のデータをもとに就学前児童人口との比較で、待機児童が「比較的少ない」地域をご紹介してきました。この中には待機児童数200人近くと、決して少なくない地域も紛れています。ただ、全体的に待機児童数が就学前人口数の1%を越えると、その地域は待機児童数が結構多い、という実感になってくるのだと感じました。
この記事で紹介した情報は、東京都福祉保健局が2015年7月に公表した「都内の保育サービスの状況について」というデータをもとに作成しました。