この記事では、東京都世田谷区が公開した認可保育施設の2016年4月入園(1次募集)の倍率をご紹介します。
世田谷区にすむ育休中の友人が、認可保育園の0歳児クラスに入れなかったと嘆いていました。幸い無認可保育園に入園が決まったそうですが、待機児童数万年ワースト1位の世田谷区の保育園事情は本当に大変なようです。
世田谷区が公開している保育園の申し込み倍率情報などを整理してみました。
なお、この記事は2016年の情報です。2017年度版のデータもあるので、最新情報はそちらをご覧ください。
世田谷区の認可保育園の倍率は12倍?
2016年(平成28年)4月入園の世田谷区の認可保育施設の募集人数は3,282人でした。これに対し、希望者数は41,029人、なんと競争率12倍です。世田谷区では保育園に12人が申し込んでも1人しか入れないんでしょうか?
このからくりは、1人が複数の保育園に申し込むのを全てカウントしているのでこんな数字になっていたのです。「第1希望の合計」という数値が実際の申込者数で、2016年4月入園に申し込んだ実際の子どもの数は6.439人でした。
この実際の申込者数と年齢別の定員を比較して、実倍率を計算しました。
- 0歳児 … 1.96 倍 (定員 861 人に応募 1685 人)
- 1歳児 … 2.11 倍 (定員 1228 人に応募 2594 人)
- 2歳児 … 2.64 倍 (定員 395 人に応募 1043 人)
- 3歳児 … 1.83 倍 (定員 425 人に応募 779 人)
- 4歳児 … 1.35 倍 (定員 185 人に応募 250 人)
- 5歳児 … 0.41 倍 (定員 188 人に応募 78 人)
世田谷区の保育園倍率の全年齢平均は、1.96倍と、ほぼ2倍という数値になりました。2人に1人は認可保育園に入れないのです。
0歳児ですでに2倍近いというのはかなり大変な状況です。2015年度から施行された子ども・子育て支援新制度は、保育園ニーズが一番大きな0歳児から2歳児向けの保育施設の拡充(と認可施設への組み込み)をしているはずなので、施設を増やしても保育園希望者がどんどん増えているようです。前年度の定員データと比較できていないので、施設が増えているかは判断できないけれど、2015年4月入園募集のデータと比較すると、0歳〜2歳児すべての世代で、前年度比5%程度応募数が増えています。
定員と応募者数は、2016年の1月末時点の情報(応募は締め切り、定員情報が更新済み)なので、極めて正確だと想像します。
1人あたりいったい何園に併願している?
気になったのが、集計資料の末尾にある「全希望順位申込数は第30希望までの希望園合計」という記載です。「とにかく何処でも良いから入りたい」と必死に保活する方は、30個まで希望園(施設)を記入できるようです。
しかし、自宅から通える範囲に30園もある人なんてほとんどいないでしょう。いったい皆さんどのくらい希望園を提出するんでしょうか。第1希望の数と全希望の合計数を比べて、1人あたり何個の保育園を希望しているか計算しました。以下が結果です。
- 0歳児 … 6.3 園/人
- 1歳児 … 7.1 園/人
- 2歳児 … 6.0 園/人
- 3歳児 … 5.8 園/人
- 4歳児 … 4.0 園/人
- 5歳児 … 4.4 園/人
全体平均で、1人あたり6.4つの保育施設に希望を出すようです。一番多い1歳児で7園超えています。さすがに30園すべて希望を出す人は少ないようです。現実的に通える範囲の保育園となると、そのくらいの数しかないということですね。
世田谷区の認可保育園の2次募集の数は?
認可保育施設には、辞退者や保育施設の状況変化により、他の市区町村同様に認可保育園の二次募集があります(申し込みは締め切り済み)。募集といっても若干名という地域が多いのだけど、世田谷区では2016年4月開所という保育施設が20ほどあるため、600人以上の追加募集があるようです。
0歳児で81人、1歳児で10人、2歳児23人、3歳児57人、4歳児157人、5歳児294人なので、4歳児以上は場所を選ばなければ認可保育園に入れそうです。(ニーズが少ない高齢児ほど定員が多いというアンバランスな状況は、子どもの年齢が上がると、保育士1人あたりが対応できる人数が飛躍的に増えるためです。)
とはいえ、2倍近かった競にあぶれた子どもたちの受け皿にはとうてい足りないので、無認可保育施設の状況にもよるけれど、世田谷区が待機児童数ワーストワンになるのは今年も確実なようです。
この記事で使用したデータは、東京都世田谷区の公式ホームページの「保育」のページで公開されていたものです。
公開されている情報は随時世田谷区が更新・削除してしまうため、最新情報は常に世田谷区のホームページでご確認ください。