この記事では、神奈川県川崎市の中原区が公開した2016年4月の保育所等利用申込・利用調整結果状況(一次利用調整)の倍率をご紹介します。
かつて保育園激戦区と呼ばれた川崎市。現在の待機児童数は驚異的な少なさを誇るようです。でも実際の保育園の競争率はどの程度なのでしょうか。人気住宅エリアの武蔵小杉を擁する、川崎市最大の都市である中原区の保育園倍率情報です。
中原区の認可保育園の倍率は市内最悪の9.7倍
2016年(平成28年)4月入園の川崎市中原区の認可保育施設の一次募集の内定数は全年齢(0歳児から5歳児)の合計で1,233人でした。これは約70の施設(保育園・保育ママ・認定こども園など)の合計です。これに11,949名が応募したので、競争倍率は実に10倍近い9.7倍となりまし。これでは10人に1人しか入れないということになります。
ただ、川崎市の公表している応募数は複数の園に希望を出した人の累計数です。1人平均3園以上に併願しているはずなので、実倍率はもっと低いはずです。
一人複数の園に応募しているという前提での川崎市中原区の保育園の年齢別の競争率は以下の通りでした。
- 0歳児…9.83 倍 (内定348人に申請3422人)
- 1歳児…10.03 倍 (内定582人に申請5840人)
- 2歳児…10.30 倍 (内定162人に申請1669人)
- 3歳児…7.03 倍 (内定109人に申請766人)
- 4歳児…7.48 倍 (内定27人に申請202人)
- 5歳児…5.48 倍 (内定23人に申請126人)
全体では、申請11,949人に対して内定1,233人、倍率は9.7倍です。
前回記事で紹介した川崎市川崎区(倍率5.8倍)と比べると、内定数は倍近いけれど、申請が3倍くらいになってしまっています。なお、人口は川崎区が約22万人、中原区は約24万人と、規模はあんまり変わらないけれど、保育園の数・応募者数ともにはるかに中原区の方が多いですね。タワーマンションに住む子育て世代が多いのでしょうか。
倍率の傾向は典型的で、1-2歳が最激戦、0歳がそれに続き、3歳すぎると倍率は低くなる(そもそも募集がほとんどない)という傾向です。
川崎市中原区の保育園の実倍率を推測
川崎市は保育園の実際の応募人数は公開していないので、実態を推測してみます。
中原区は100人前後の比較的大きな保育園が多く、0-2歳児向けの小規模保育や保育ママは10個弱しかありません。(内定者その全部で30名未満)
大きいところは募集する数も多いけれど、その分応募者が殺到しています。
※こういう公開資料をザッと眺めて考察しています。
0歳児の応募数は申請3400人だけど、1園あたりの応募数が180を超えていないことと、1人5園くらいしか応募しないと想定して、実際に応募した子どもの数は700人程度と判断します。実倍率はちょうど2倍くらいでしょうか。なお、募集倍率が2倍を越えると正直ヤバい水準です。(待機児童数が最悪な世田谷区の実倍率がそのくらい)
園によって競争率はばらつきがあり、穏やかな場所で3倍(30人募集で内定10人)、ひどいところで30倍(150人以上募集しても内定6人だけ)というところが2-3園ありました。
1歳児も同様に眺めると、200人程度応募している園が複数あるので、実応募者は1000人〜1200人、実倍率は2.1倍程度だったかと想像します。一番競争が激しくない園は5人募集に10人応募(倍率2倍)だったけれど、基本的に競争率4倍超えはあたりまえ、10名以上募集がある園は10〜15倍、一番ひどいところで45倍という目を覆いたくなるような倍率が並んでいました。
2歳児も概ねひどい倍率だけれど、応募があっても内定を出さない園も多く、ずいぶんと大変です。
3-5歳になってくると応募も募集も減ってくるので、考察は割愛します。
おわりに:この記事のデータについて
この記事のデータは、前回の川崎区の記事同様、川崎市がPDF形式で公開している川崎区各地域の保育園の一次募集の調整後申請数と実際に内定を出した数の一覧表を、当方が手作業で集計して倍率を算出しています。
http://www.city.kawasaki.jp/450/cmsfiles/contents/0000030/30624/nakaharaku_ukeirekanousuu1ji.pdf
平成28年4月 保育所等の利用調整結果(一次利用調整)という発表資料を使いました。
- 平成28年4月の保育所等の利用調整に関する申込数及び内定数を掲載します。
- 申込数は、利用を希望されている児童の延べ申込人数です。
- 内定数は、新規の入所予定数です。
この記事で紹介した倍率は、定員5名の保育ママから定員150名の大規模保育園、0-2歳向け、1-5歳向けなど、様々な園のデータを一緒くたに集計したものですので、実態とはズレがあることをご承知おきください。